読書
1991年にカッパ・ノベルズから刊行されたドタバタ・ピカレスク・コメディー、1997年発行の光文社文庫版で読む。 私がこの作家に注目したのは、「夏の災厄」(1995年、毎日新聞社刊)からだった。日本版マイクル・クライトン「アンドロメダ病原体」とも言うべ…
30年ぐらい前だろうか、街の本屋さんへ行くと、ごま書房や徳間書店などから出版された金儲け指南の本が平積みになっていた。当時はそれらの著者である「邱永漢」という名前を見ても「金儲けの上手な中国人」程度の認識しか持たず、この人の文学的センス、人…
(講談社文庫版はもう古本でしか入手できないらしいが、今は小学館から出ているようだ) 昭和真っ盛り(と言っても昭和は長かったから人によって思い浮かべる年代は違うがここでは昭和30年代)の青春物語。何しろ主人公の名は「重吉(ジュウキチとしか読めな…
ブログに書こうと思って、著者・題名をネットで検索して驚いた。なんと新本では入手できないらしい。と言っても、古本が高騰しているわけではなく、その気になれば廉価で購入できるだろうが。なにしろ、自宅の積ん読本の山に20数年は眠っていたらしいので、…
こっちの方が、「子子家庭は大当り!」より先に書かれたものだった。一応、事の発端から書いてある。初出は昭和時代末期の「小説新潮」だという。
米・ソの冷戦、そこに中国も台頭してくるころの東・西ドイツが小説の舞台。著者はアメリカ人、主人公もアメリカ人。 人が死ぬ場面に、ル・カレの小説のようなモラリティがあまり感じられない。ハードボイルド系スパイ小説。 登場人物の二人が話す場面で、 「…
ドイツがまだ東西に分かれていたころの話。マキシム少佐はダウニング街10番地(英国首相官邸)に勤務しているので、そのころのロンドンや郊外の様子、風俗などを垣間見られる。高貴な家柄で大酒飲みの首相補佐官が、ふらふらしながらも一応機能しているのが…
ありえない状況設定。刃物男や幽霊なども登場するわりに、全然怖くない。平成のユーモア小説群の一つ。
勉強のために読むのであれば、あまりにも軽い。 しかし政治的なプロパガンダとして読むと、十分な重みがある。著者がこれまで思い続けてきた日本語に対する心情の吐露でもある。
(古い小説であること、史実とフィクションが混じり合っている点には注意が必要) ジョン万次郎の名は子供のころから知っていたが、何となくロビンソン・クルーソーの日本版ぐらいにしか思っていなかった。 それが、この本を読んで、今さらながらに知ったの…
戸津井康之「終わらない戦争 復員船「鳳翔」 〝終戦〟までの長き航路」という本を読んだ。以下、読後のメモ。 「日本海軍で空母として設計された最初の艦船(空母として設計されたのは世界でも初めてだという)が、ほとんど奇跡的に終戦までほぼ無傷で生き残…