2023-01-01から1年間の記事一覧

赤川次郎「子子家庭は危機一髪」(新潮文庫)読後メモ

こっちの方が、「子子家庭は大当り!」より先に書かれたものだった。一応、事の発端から書いてある。初出は昭和時代末期の「小説新潮」だという。

ロス・トーマス「冷戦交換ゲーム」(ハヤカワ・ミステリ)読後メモ

米・ソの冷戦、そこに中国も台頭してくるころの東・西ドイツが小説の舞台。著者はアメリカ人、主人公もアメリカ人。 人が死ぬ場面に、ル・カレの小説のようなモラリティがあまり感じられない。ハードボイルド系スパイ小説。 登場人物の二人が話す場面で、 「…

ギャビン・ライアル「マクシム少佐の指揮」(ハヤカワ・ミステリ)読後メモ

ドイツがまだ東西に分かれていたころの話。マキシム少佐はダウニング街10番地(英国首相官邸)に勤務しているので、そのころのロンドンや郊外の様子、風俗などを垣間見られる。高貴な家柄で大酒飲みの首相補佐官が、ふらふらしながらも一応機能しているのが…

映画「サタデー・フィクション」を観た

映画「サタデー・フィクション」を観た。近来まれにみるほど面白いスパイスリラー。中国本土の人が作った映画を日本人が冷静に鑑賞できるという意味でも素晴らしい。 映画の中の劇中劇の原作は横光利一の「上海」だというので、青空文庫で見てみた。いきなり…

赤川次郎「子子家庭は大当り!」(新潮文庫)読後メモ

ありえない状況設定。刃物男や幽霊なども登場するわりに、全然怖くない。平成のユーモア小説群の一つ。

山口仲美「日本語が消滅する」(幻冬舎新書)読後メモ

勉強のために読むのであれば、あまりにも軽い。 しかし政治的なプロパガンダとして読むと、十分な重みがある。著者がこれまで思い続けてきた日本語に対する心情の吐露でもある。

津本 陽「椿と花水木 万次郎の生涯 上・下」読後メモ

(古い小説であること、史実とフィクションが混じり合っている点には注意が必要) ジョン万次郎の名は子供のころから知っていたが、何となくロビンソン・クルーソーの日本版ぐらいにしか思っていなかった。 それが、この本を読んで、今さらながらに知ったの…

戸津井康之「終わらない戦争 復員船「鳳翔」 〝終戦〟までの長き航路」読後メモ

戸津井康之「終わらない戦争 復員船「鳳翔」 〝終戦〟までの長き航路」という本を読んだ。以下、読後のメモ。 「日本海軍で空母として設計された最初の艦船(空母として設計されたのは世界でも初めてだという)が、ほとんど奇跡的に終戦までほぼ無傷で生き残…