ギャビン・ライアル「マクシム少佐の指揮」(ハヤカワ・ミステリ)読後メモ

 ドイツがまだ東西に分かれていたころの話。マキシム少佐はダウニング街10番地(英国首相官邸)に勤務しているので、そのころのロンドンや郊外の様子、風俗などを垣間見られる。高貴な家柄で大酒飲みの首相補佐官が、ふらふらしながらも一応機能しているのが英国らしい。

 一方で、戦後東西に分かれたドイツには表舞台に出てこない悲劇もいろいろあったのだろうなと感じさせる。

(蛇足)邦訳タイトル「マクシム少佐の指揮」は原題 "The Conduct of Major Maxim" を訳したものだが、ストーリーに鑑みれば、「指揮」ではなく「行為」「行い」の方が意味的に合っていて、もっと言えば「行状」とでもしたい。しかし、そんなタイトルでは本が売れないから、この邦訳名になったのだろう。