森 毅「魔術から数学へ」(講談社学術文庫)読後メモ

 最近、古本屋で購入。高校以来苦手科目になってしまった数学に、未だ未練がある。

 中世、ルネサンス、近代へと時代が変わっていくあたりのヨーロッパ、数学が錬金術占星術と一緒くただった時代の事情がかすかな関西弁混じり(東京生まれなのに)で語られる。デカルトニュートンもこの人にかかっては同時代人のような感じだ。ただやはり、ひと昔前の東大教授、じゃなかった、この人は東大卒の京大教授だった、の漫談を聞いているような感じで、浅学非才の私にはついていけないところも多少はある。特に70ページ以上面白おかしく読んだ後で突然、対数、logがいろいろな計算式とともに当たり前のように登場したときには参った。高校の参考書でも買って勉強し直したいという気持ちに、少しだけなる。

 それでもめげずに読み進めると、また面白い文科系っぽい話も出てきて、最後まで読むのは難しくなかった。論理を全部追えたわけではないとしても。

 知的好奇心をくすぐられる本であることは確かだろう。